file.09 井川 空

file.09 井川 空

(この原稿は6月19日のギラヴァンツ北九州戦のマッチデープログラムに掲載されたものの転載です。)
6月25日より、中断していたプリンスリーグが再開する。再開初戦は帯広開催。というわけで、音更町出身の2年生、井川空に話を聞くことにした。が、しかし。とりあえず空のストロングポイントを教えて、という定型文の質問にいきなり躓いてしまった。「そこが今、よくわからなくなっていて…。」自分がチームの中で何を求められているかわからないという。正確には、頭ではなんとなくわかっているつもりだが、それをプレーに出せない。出せないとイライラして余計プレーが悪くなり、そうなるともう自分をうまく引き戻せなくなる。悪循環だ。「悩んでます…。」いつも飄々とプレーしているように見える空だが、頭の中は混乱していたようだ。
「空はU-18からコンサドーレに来たので、まだここのサッカーに慣れていない。やるべき事が多すぎて整理できていない状態なのでしょう。」空が悩んでいると報告すると、川口監督は、だから最近元気がないんだな~と言いながらそう分析してくれた。「U-18は大人のサッカーへの入り口。誰もが悩む年代です。逆にここで悩まない選手は伸びない。いいんですよ、たくさん悩めば(笑)」
空はU-15まで地元のプログレッソ十勝に在籍していた。プログレッソからは道外へ進学する選手も多く、空も大阪や金沢などいくつかの高校に興味を持っていた。「コンサドーレには入れないと思っていたので。それならプロになるために道外に出なくてはと思っていました。」プロになりたい。そのためには親元を離れ、環境を変えることにも抵抗はなかったという。コンサドーレからギリギリのタイミングで声が掛かり、練習参加した時にすぐに心は決まった。「みんなすごく上手くて。このレベルを越えたいと思いました。」それまで自分の強みは運動量だと思い、練習参加でもたくさん走ることでアピールをした。でも「それだけじゃダメで、U-18ではプラスの要素が求められている。でも何が自分のプラス要素になるのかわからないんです…。」配球の質やパスの精度、選択肢、守備の判断、周囲への気配り…、高校生年代のボランチに求められる役割は多く、常に考える習慣がないとスピードにもついていけない。さらにプレーの質を均一化し、ベースを高くするために、苦手なプレーは改善し、その上で自分のストロングポイントを磨くことが必要だ。
川口監督は、悩むのはいいこととしながらも「悩みの質が重要。ただぼんやりと、昨日はダメだった、今日は良くできたと一喜一憂するような浅い悩み方では成長しません。」と釘を刺す。「壁にぶつかった後に、思考の進む方向や深さでその先の成長が決まる。とにかく考える、判断する習慣を付けることです。」
たしかに空に限らず2年生は、3年生のような安定感も1年生のような勢いもなく、どこかプレーにも迷いの見える選手が多いような気がする。そこをがむしゃらに乗り切ろうとする選手もいれば、考えた末に小さくまとまってしまう選手もいる。人間的にも成長し、3年生からプロへの道へ進める選手は一握りだ。考えて考えて考えて、みんながしっかり判断のできる大人の選手になってくれることを期待しています。

*井川空選手 U-16日本代表候補 大阪トレーニングキャンプメンバー選出*

この後、空は10/31(月)~11/3(木)にかけて行われたU-16(FIFA U-17ワールドカップ2017)日本代表候補・大阪トレーニングキャンプのメンバーに選出され、高い評価を受けました。
メディアに対し空は、「(今回の合宿で)自分のストロングポイントをかなり発揮できたと思います。」とコメント。悩みの先に見出した答えで、自らの未来を切り拓くことが出来たようです。
年代別代表候補から、実際に世界大会へ行けたのは深井選手、阿波加選手などほんのわずか。もっともっと悩んでもがいて乗り越えて、世界への扉を開けるよう頑張れー!

井川 空 IGAWA Sora

プログレッソ十勝U-12 → プログレッソ十勝U-15 → 北海道コンサドーレ札幌U-18