file.11 安田 弐士輝

file.11 安田 弐士輝

(この原稿は2016年8月25日のロアッソ熊本戦のマッチデープログラムに掲載されたものの転載です。)
8月15日(月)から始まった日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会。この原稿を書いている時点で、北海道コンサドーレ札幌U-15はラウンド8で川崎フロンターレU-15を破り、準決勝へ駒を進めている。北海道勢がベスト4に残るのは、この大会では初だ。
勝ち進むには当然、得点が必要で、今大会は9番のエース小山田凌がとにかく調子がいい。凌と2トップを組む湯浅歓多や、サイドで攻守に活躍する田中光太の頑張りもチームを助けている。
しかし、このチームを支えるのは、何といってもしっかりとした守備力だ。ダイナミックな攻撃を生み出す組織的な守備。それを統率するのが、CBの3年生・安田弐士輝だ。
ここまで全試合80分間フル出場しているのは弐士輝だけ。「そもそも弐士輝が居なかったら、このサッカーは出来なかった。」と森川監督も絶対的な信頼を寄せる。「弐士輝はお調子者だから(笑)調子が良いときは声が出せるけど、失点したりミスをするととたんに声が出なくなっていた。そこを変えるように言い続けました。」弐士輝に自分の持ち味は何?と聞くと、「声です!」と試合後のガラガラに嗄れた声で答えてくれた。「元々自分では出しているつもりだったけど、監督に全然足りないと言われて…。今は出せていると思います!」ノックアウトステージ1戦目のマリノス戦、早い時間に先制されたが、チームは崩れることなく同点弾を奪い、さらに逆転。そこには慌てず下を向かず、仲間を鼓舞し続けた弐士輝の声があった。
将来の目標はまずはトップで活躍すること。3歳からサッカーを始め、コンサドーレのスクールからU-12へ入った。「日本代表になりたいけど、今のままじゃ厳しいと思う。」今大会唯一の敗戦はグループリーグ最終日のRIP ACE SC戦。豪雨の中でピッチコンディションも最悪。「でも相手はそういう中で工夫してボールを動かせていた。技術や判断力で負けていた。」自分に足りないのは判断力、という弐士輝の自己分析を監督に伝えると、「弐士輝のいいところは、自分の弱点を理解できるところ。メンタルも弱いけど、それを克服しようと努力している。これからもっとサッカーを知って、経験を積んでいく中で判断力も養われるはず。」と期待を寄せる。
弐士輝に、このインタビューは8月25日の熊本戦のマッチデープログラムに載ることを伝える。その時にはすべての結果が出ている。「優勝してます。」願望を口にしているという風ではなく、当然そうなるという確信を持って答える弐士輝を見てたら、それが当たり前のように思えてきた。きっとチームのみんなも、こんな風に弐士輝の声に勇気づけられているんだろうな。
『優勝』という結果だけでなく、本州の強豪チームと試合をする機会がほとんどない北海道の選手にとっては、トーナメントを勝ち抜くということは1試合でも多く試合経験を積めるという重要な意味を持つ。あと2試合。勝って、最高の成績と、最高の経験を持ち帰ってくる選手たちと、今日を迎えられていることを、ここに予言しておきます!